春の夢のクリューナ

PBW 《シルバーレイン》のPC・クリュについて色々書いてます。 全体の書き方は背後とPC混じりです。                   分からない人は回れ右しようね。お姉さん(お兄さん?)との約束だよ(by背後

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シルバーレイン開始から一年記念SS

タイトル通りです。
色々あってテスト話のSS後になっちゃいましたが。
まあ、続きに行っちゃってください。


   「運命の軌跡」

 五月二十八日。クリュにとって、今日は大切な日である。
 母のリュナの命日・春の誕生日・自分の誕生日……そのうちのどれでもない。
 自室で勉強していたクリュは、ふと日付を確認して独り言を述べた。
「そういえば、今日だっけ」
 バスケットの上で寝ていたシロがその呟きに反応した。不思議そうに首を傾げてそこから出ると、静かにクリュの所へ歩み寄っていく。
 クリュは一旦シャーペンを置いて勉強を中断した。
 椅子に座ったままで身体の向きを変えて、傍までやってきたシロを抱き上げる。そして鼻先同士が当てられるくらいに顔へ近づけて微笑んだ。
「ん、何でもないよ」
シロは小さく鳴いて、微笑むクリュの頬をペロペロと舐め始めた。
初対面や犬などが苦手である相手に対して、シロは普段絶対に舐めたりしない。飼い主のクリュだからこそする行為で、じゃれ付きに遠慮がなかった。
「あはは、くすぐったいなあ」
 クリュは文句を言いながらも、楽しげな声を漏らしている。
 しかし、ずっと戯れているわけにもいかない。キリの良いところでシロを膝の上に座らせた。
シロはクリュと同じ目線された後、さらにもそもそと動いた。机の端に頭と前足を乗せ何かを見つめている。視線の先にあるものは、馬の人形だ。手の平サイズで触り心地抜群の絶品である。
「シロが知ってるわけ、ないよね?」 
 クリュは馬の人形に手を伸ばして、弄ぶように何度か指で軽く突いて揺らす。
「……今日、あたしが《ほーさん》に出会った日だってこと」
 五月二十八日。それは、クリュが《ナイトメア適合者》に覚醒した日だった。


 《ナイトメア適合者》という能力者になってから、今日で一年になる。
 この一年の間で、クリュは一緒に戦い続けてきた。結社の仲間や色々な場所で出会った仲間……。そして、《ほーさん》と共に。
 身を投じてきた戦いの中には、悔しいことや苦々しいことも沢山あった。幸いにも仲間の助けのおかげで、目立った傷を負った経験は一度もない。
もちろん、今度もそれで済む保証があるとは言い切れない。それでも幸運な方だ。
 クリュは現在も、父の春と一緒に生活を営んでいる。万が一にも重傷となろうものなら大騒ぎ確定だろう。ましてや、命を落とす事態はもってのほかである。
妻のリュナを亡くし、娘のクリュまで失う。そんなことはあってならない。
 それなのに、クリュが命の危険を冒してまで戦う理由はただ一つ。世界結界が不安定な現在の状況で、自身の身を守るこの力を高めるためだった。
《ほーさん》と共にいるためと、今では他の皆の存在も確かに理由の内に入る。
 しかし、正式な能力者でなかったリュナは力なきゆえに命を落とした。
 口に出してはいないが、《ほーさん》も力が足らなかったことを悔いているようだ。
 何よりも、自分が戦えることで全てに繋がるからこその動機である。自身を鍛え、仲間の力になれ、いざという時は父親の春を守ることも可能だ。
 これからも、クリュは戦い続けてゆく。
 再度、シロがもそもそと身動ぎして、そっと寄りかかってきた。尻尾を小さく揺らしている。
「どうしたの?」
 クリュはシロを抱き上げて自分の方に向かせてみた。尻尾を振ってくるが、じゃれようとはしてこない。まるで、これからの頑張りにエールを送っているかのような大人しさだ。
 動物は勘が鋭いと言う。だがゴーストの存在を認識できているかどうかは分からない。
 シロが突然ドアの方を向いた。
 と、同時に玄関先から物音が聞こえてくる。時間帯からして春が帰ってきたのだろう。
「パパかな。お出迎えしよっか」
 クリュは抱っこしていたシロを床に下ろして玄関先に向かった。その後ろをシロがついてゆく。
 玄関先が見えてくると、春もクリュ達の方を振り向いた。靴を片付け終えたようだ。
 春は階段を下りてきたクリュとシロに笑顔で言った。
「ただいま」
「おかえり」
 きゅーん、とシロも小さく鳴いて返事をする。代わりに、尻尾の振りは大きい。屈んだ春がシロの頭を撫でてやると、尻尾の勢いがさらに増した。
 この時、クリュはいつも心が安らぐような気持ちになり微笑む。春とシロの遣り取りは、春が仕事の日には日課のようにほぼ毎日行っていることだ。能力者として家を空ける時でも、偽身符の自分が忘れないほど当たり前になっている。
 小学生や中学一年の頃はクリュがよく撫でてもらっていた。本心では現在も撫でて欲しい想いが少しある。高校生にもなった今だと照れくさいだけなのだ。
現在はやっぱり撫でられるのが大好きなシロにバトンタッチしている。だが二人の様子を眺めているだけで、クリュは十分満足しているようだ。その光景をこれからも変わらず見てゆくことだろう。
 今日も、クリュは二人に対して笑顔を満開にさせるのであった。

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