春の夢のクリューナ

PBW 《シルバーレイン》のPC・クリュについて色々書いてます。 全体の書き方は背後とPC混じりです。                   分からない人は回れ右しようね。お姉さん(お兄さん?)との約束だよ(by背後

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ホワイトデーが明けて

ホワイトデーの後日談なSSです。

さあ、その内容は続きから!

「……やけに、テンション高いわね」
   『白と青の贈り物』


 三月十四日は、ホワイトデーだ。その数日前のことである。
 古都の香りがクリュの部屋に広がった。それは初めて、【花信風封】の便箋が机の上に開かれたからである。クリュが清己と京都で初デートした時に買った御土産だ。
 クリュは異性と二人きりで出掛けるという事自体が初めてだった。別に、頑なに避けていたわけではない。ただ付き合う前にそうする機会が無かっただけである。一種の拘りみたくなって、知らずに泣かせてきた男子もいるかもしれないが……。
 そんな人生初の初デートを思い返し、クリュは鉛筆を構えた手を止めた。
「…………」
 今更、小恥ずかしい思いが募ってくる。でも、嫌な感覚ではない。こそばゆいという意味でも心地良かった。
 クリュの膝に乗っていたシロが小首を傾げる。
「ん、楽しかったんだよ?」
 訊かれたわけでもないのに、クリュはシロの頭を撫でながら呟いた。シロがもふもふな毛ですり寄ってくる。
 そう、充実したデートだった。
(……うん。楽しかった)
 クリュは鉛筆を走らせて、その想いを乗せるように書き綴った。
 しかし、照れてしまうものは照れてしまう。簡潔に、丁寧に、最後に綴った大事な言葉を見詰めながら、消しゴムを無意識に手にしていた。
「あ……」
 気付いた時には、便箋に『あの一言』が見当たらない。それでも一枚だけの、そして彼に贈る便箋を乱雑に扱ってはいなかった。ちゃんと線の跡が残っている。
 清己も眼鏡越しならば、目を凝らさなくともはっきりと解るだろう。
「……これでいこっか」
 クリュは照れ臭そうに微苦笑しながら便箋に封をする。
 後は、便箋を清己の下に届くようにすればいい。
二月十四日から関係が変わり、それ以前から変わらないはずの想いを伝える。そのために、便箋の配達日を三月十四日になるようにして……。


 ホワイトデー当日、クリュの下にも一つの物が贈られた。それは、指輪だ。初めての彼氏からの初プレゼントである。その指輪を嵌めない理由はない。
 左利きのクリュが嵌めたのは、右手の薬指だった。その意味は、あえて言及しなくてもいいだろう。
 翌日の夜、帰りが早かった父親の春と紅茶を飲んでいた時だった。
「ん? それは指輪かい」
 春にとっては何気ない一言だったに違いない。
「あ、うん。昨日、ね。……貰ったの」
 クリュは顔を伏せながらはにかんだ。
 とある一件で、春は清己を知っている。そして二月に交際の話をした。交際を始めてからの清己とは、まだ顔を合わせていない。でも、二人の交際は素直に認めていた。
 娘がそんな年頃になっていたと、春は改めて思い知っただろう。だから、複雑な父親の心境になるくらいなら構わないはずだ。
 クリュはふと思い浮かんだことを春に訊いてみた。
「……パパはママの青い瞳、好きだった?」
「ああ。リュナの瞳の色を受け継いだ、夢衣の瞳も綺麗だよ」
 カップから口を離した直後の問いに、春は微笑みながら答えた。
 クリュも嬉しそうに笑顔を浮かべる。その笑みには、春の言葉以外にも思うところがあるようだ。
「……うん、ありがと。やっぱり、そうなのかな」
「うん?」
「あ、実はね。この指輪の内側にサファイアが嵌め込まれてるの」
「…………」
 サファイアの存在を聞いた春の手が一瞬止まる。そして背景に稲妻のエフェクトが流れた……気がした。
 重ね重ね言う。父親という立場故の苦悩を胸の内に秘めるくらいは勘弁していいはずだ。
 クリュは不思議そうに春を見た。
「?」
「サムシング・ブルーを知ってるかい?」
「……何だろう」
 考え込むクリュに釣られて、椅子の隣で伏せをしていたシロが首を傾げる。
「調べてみるといいよ」
「うん。それじゃあ、そうしてみるね」
 先に紅茶を飲み終えたクリュは部屋に戻り、パソコンを起動してみた。ちなみに、今日もシロを膝に乗せている。
 検索に、時間は掛からなかった。
「……あ」
 【Something blue】……サムシング・ブルーとは、あるおまじないを表す。その意味を知って、クリュは思わず頬を紅潮させた。
 シロが先日と同じように心配そうな瞳を向けてくる。
「だから、大丈夫よ?」
 頭を撫でられたシロが目を細めて尻尾を揺らす。きっと、クリュの掌にいつもより熱が帯びていたのだろう。
(幸せ、かあ……)
 やっぱり、高揚するこの気持ちは気分が良い。内側のサファイアは確認できないが、ふと右手の薬指に嵌めている指輪を見る。どんな思いを巡らせながら眺めているのか。
 ただ一つ言えることは、今――クリュが幸福感で一杯になっているということだった。
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この記事のコメント

…うん(照)
クリュが喜んでくれて嬉しい。

しかしやっぱり春さんに感情移入して読んでしまうな
…男のサガというか、父性本能が(←
何か申し訳ない気がするのでご挨拶に行かないと。
2010-03-20 Sat 07:25 | URL | 五百蔵清己 [ 編集]
父性本能ですか。
…パパの場合、それが120%発揮されている気がしますけど、あんな感じなのかなあ。

……(照/何か想像したらしい)
2010-03-20 Sat 12:37 | URL | クリューナ [ 編集]

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