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打倒!2010-03-27 Sat 20:45 戦争前に更新予定だったSSを(微妙に仕上がってないかもしれない、かも) そして偽シナの最終結果に絡む要素ありです。 現時点で未公開の偽シナ要素なので、参加者さんはお気をつけください。 ![]() 「絶対に……」 『凱旋のために』 三月二十七日。聖杯戦争の前日である。 夢衣は明日の準備を整えていた。今回の戦争では、因縁深い相手が最終目的地点に待ち構えている。討つ為に幾ら備えても、無駄なことなど無い。 討つべき敵の名は、【揺籠の君】だ。 今治市解放戦の時、夢衣は大勢の能力者達と共に【揺籠の君】と対峙した。そして敗北を喫している。当時の力量を考えれば、結局自分では役不足だったかもしれない。神秘耐性が人並みにあったはずだが、あっさりと魅了されていた。 (今度こそ) 今日までに随分成長した今の夢衣は、能力者として覚醒後から、半年も経っていなかったあの頃とは違うはずだ。 しかし、【揺籠の君】の力を完全に掴めてない以上、今度の戦いも甘くはないだろう。命中精度が落ちている現在のナイトメアランページは、何所まで通用するか見当が付かない。全く効かない可能性もある。 黒燐蟲――本業ではなくバイトだが、夢衣は代わりに新しい力を、その身に宿していた。魔眼の命中力ならば、あるいは穿てるだろうか。 まずは、何にしても【揺籠の君】がいる聖杯の塔に到着出来て、初めて言えることだ。 必要な物が揃った。後は学園の貸し切りバスに乗り込み、琵琶湖まで行くだけである。 「時間かい?」 一階に下りて荷物を置いた時に、春が声を掛けてきた。 「あ、うん……」 春はある一件で、夢衣が能力者であると知り、色々な話を聞いた。そして吸血鬼艦隊の来襲時、九州に向かった夢衣のことも知っている。 特に、今回は絶対に行かねばならないと思う夢衣の心境を解っていた。 目の前にしながら倒せなかった【揺籠の君】と、ナイトメア適合者として関係があるナイトメアビースト……。 何の因果かは分からないが、この組み合わせの者達を黙って見過ごす事は出来ない。 「無理だけは、するんじゃないよ?」 「分かってるよ。取り返しがつかないような無茶はしないから」 生命賛歌を承知でも、無傷で帰ってくるに越したことはないのが春の本音だろう。 しかし、夢衣は怪我くらいならする気概だ。春にも恐らく覚られている。春の言葉を真摯に受け止め、万が一の時にも、生命賛歌の新しい効力で痛々しい姿を晒さずに済む。 そして誰かを救えるかもしれない行動を、春は制止できない。だからこそ、こうして見送ろうとしているのだ。 シロがリビングからやってきた。まるで、これから夢衣が戦いに赴くことを解っているか、屈んだ夢衣に思い切りじゃれる。 「パパと留守番、お願いね」 夢衣に撫でられながら滅多に鳴かないシロが吠えた。頼もしい返事だ。 「いってらっしゃい、夢衣」 立ち上がった夢衣の頭に、一見すると優男な春の意外に大きい手が乗せられた。そして髪が乱れない程度に、想いを込めるように少しだけ強く優しく撫でてくる。 「……うん」 緊張していたように硬かった夢衣の表情が和らぐ。春に、勇気を貰った。荷物を片手に、玄関のドアを開け放つ。 「いってきます!」 夢衣は勝気な笑みを浮かべて、家を後にした。 一つの、又は、二つの、因縁を断ち切りに向かうために――。 スポンサーサイト
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