春の夢のクリューナ

PBW 《シルバーレイン》のPC・クリュについて色々書いてます。 全体の書き方は背後とPC混じりです。                   分からない人は回れ右しようね。お姉さん(お兄さん?)との約束だよ(by背後

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バレンタイン翌日の秘話?

秘話と言っても、妹のような子達についてのSSです。

かたや策士系(?)、かたや自爆系(?)。
刮目して読んでください。

   『バレンタインの日に・番外編』


 二月十五日、浅野クリューナ夢衣に招かれたのは色々な縁の者達だった。
 これからの話は、その内の二人が訪問した時のことである。
 舞台はもちろん浅野家で、シーナと琴音はドアの前まで来ていた。二人が出会った際、琴音の笑顔を目にして、シーナの背筋に何かが走ったのは何故。
 それはともかく、琴音がインターホンを押す。
 程無くして、クリューナ夢衣は玄関のドアを開けてくれた。
「いらっしゃい。琴音、シーナ」
 迎えてくれた姉のような存在には、満面の笑みが浮かんでいた。
「こんばんは。クリュ姉様♪」
「ふふ、夢衣さんお招きありがとうございます~」
 シーナも挨拶して、玄関土間に下りないで大人しくしているシロに、ふと目がいった。先に上がった琴音の後に続いて、傍に寄って屈んで声をかける。
「シロちゃんも元気そうで何よりですっ」
 一時のもふもふタイムを経て、シロは皆の後ろをついてくるだけだった。今日に限ってだ。自分から寄り、琴音にもふってもらっても良かったはずだが。
 ……あるいは、琴音が浮かべる笑顔の裏に隠されたものに気づいたのかもしれない。 
 その答えはリビングで過ごしている時、解る事となる。


 リビングに移動して鼻孔をくすぐってきたのは、キッチンから漂ってくる香りだった。
「わ、良い匂い……」
「二人とも、はい」
 感嘆したシーナと、琴音にクリューナ夢衣からチョコが入った袋を渡された。
「ありがとうございます」
 親しき仲にも礼儀あり、琴音の丁寧な態度は祖母の躾による育ちの良さの表れである。
「ありがとうございます~」
 シーナは目を輝かせた。
「実は、今日安くなったチョコ買おうと出かけて行ったら……。もう売り切れと言うか、ホワイトデーの装いに変わっちゃってて落ち込んでたんですよー。なので、余計嬉しくっ♪」
 ヤドリギ使いのシーナに言うのも何だが、年相応と言えそうな花より団子の反応だった。その素直さに心を委ねて、そっと尋ねる。
「……え、ええとっ、早速頂いちゃっていいですかっ?」
「うん、いいよ」
 クリューナ夢衣の微笑みを背に受けながら、二人がソファーに腰を落ち着ける。
 開封した瞬間に、チョコの甘い香りが間近で広がった。
「では一つ……」
「はい。いただきましょう」
 二人同時に口の中へとチョコを含み、雪のように融けた甘さが舌に染み込んでいく。
「ん、美味し。夢衣さんの愛情の味がする、なーんて♪」
「……♪」
 二人の幸せそうな顔を見て、クリューナ夢衣の笑顔は一層強まった。
 和やかな様子を感じ取ったらしく、シロの尻尾も元気良く振られている。
「あたしはキッチンにいるから、二人はくつろいでてね」
 クリューナ夢衣がそう言って向かい、リボンで袋の封をするのを再開した頃……。
 シーナは七粒のホワイトチョコを食べ切っていた。物足りないとは思いながらもお腹と暇を持て余し、再びシロもふタイムに移る。 
「シロちゃん~♪」
 もふもふしてもらって目を細めるシロを眺めて、シーナは思わず顔を綻ばせた。しばし堪能してから、一旦手を離す。
 不意に、シロがキッチンに駆けていく。
 クリューナ夢衣の声が聞こえてから、シロは何かを銜えて戻ってきた。
 琴音が納得顔をする。
「あら。クリュ姉様はお見通しだったみたいですね」
 シロが銜えてきたのは、形が不揃いのチョコが入って封もされていない袋だった。比較的に上手く出来たものから微妙に残念なものまで選り取り見取り?
 わんこの愛らしい仕草で、『おかわりどうぞ』と言うように差し出されれば。
「貰わない道理なんて、ありません……!」
「ですね」
 かくして、シーナはありがたくおかわり頂戴するのだった。


 シーナはおかわりを程々に、帰宅後の楽しみとして思いに耽っていた。
 大魔神ならぬ恐怖の小悪魔が、実際には重くない腰を上げたのはその時……。
 琴音がキッチンを見やり、特別な包装の成された二つの箱を確認する。
「……春さん、あのチョコの片方を受け取る方とはもう会ったのかしら?」
「ふっふー、あちらにはもっと沢山の愛情が含まれているんでしょうね~」
 同様に目をやったシーナで、彼女の頭に生えたのは存在しないはずの悪魔ツノ。
 本命で当然のチョコが今日に作られているのは、今日こそが記念日だからである。
 引き続き、シーナが浅野クリューナ夢衣に聞こえないように声を交わす。
「ええ、夢衣さんももう結婚出来る御年齢ですもの。春さんもきちんとお会いして、将来の展望をきちんと聞いておかれませんとねっ」
 小悪魔シーナ……いや違う。
「そう言うことは、早めにきちんとしておくべきですよね、ねえ、シーナさん?」
 琴音は殆ど間を空けず、核心を衝いてシーナの見えないツノを叩き折った。
「って、琴音さん何で私に振るんですかっ!? 彼はお友達です、お友達っ!?」
 真(?)の不透明な悪魔ツノは、琴音の頭に……にょっきりと生えていた。聖人の名を冠した日や十五日であろうともお構いなしだ。彼女のツノを砕くこと容易に非ず。
 もはやシーナに有ったツノの根元から出てくるは、羞恥心という蒸気だ。
 シーナが赤面して慌てふためきながら堪らず弁明しようと、自ら地雷を踏み始める。
「きちんとするとかそういうお話ではですねっ!? 」
 尚も小悪魔の微笑が冴え渡る。
「私も、いつの間にか大事な姉様や友人を取られていたのはちょっと寂しかったもので……ね」
「そ、それはまた実家に来てねとか言われましたし、機会見て行きたいなって思ったりもしますけれど……」
 最後は囁くような声だったものの、あれだけ騒いだ後ではもう遅い。
 クリューナ夢衣がキッチンからやってくる。
「どうかした?」
「……あ、夢衣さん。チョコはもう食べちゃいました~。えへへ♪」
「そっか。満足してくれて良かったわ」
「ああ、シーナさんは大丈夫。何でもないですよ? ただ……今年はどんな心持ちで特別のチョコを作ったのかと伺っただけです」
 しれっと説明する琴音だった。ツノは奥に引っ込ませている。
「ん?」
「え? 何か顔が赤いですか? ぜ、全然そんな事ないです、何でもないですのでっ」
 クリューナ夢衣は聞いていないし、今もそうしてこない。
 きっと、人はそんな時に墓穴を掘ったと表現するのだろう。
「「……」」
 琴音にも悪意は無くて、これ以上は無闇に茶化す気は無い……はず。
 察したクリューナ夢衣が、毒気を抜く意味で琴音の頭を撫でる。さすれば彼女も素直に顔を綻ばせるだろうか。
 しかし、琴音が微笑むも……今回の毒気は割としぶとかった。恒例のやりとりを経ても、なかなか浄化し切れない。
 その様子を見守りながら、シーナが心の安らぎを求め、シロを抱き抱えて身震いする。
 完全に抜き切るのは困難を極め、クリューナ夢衣は微苦笑。
「……ま、あたしはキッチンに戻るけど。何かあったら呼んでね」
 クリューナ夢衣がその場を離れて見えなくなり、すぐに笑顔な琴音の頭からツノ再臨。その速さは光速を越えていた。
 シーナが戦々恐々とする。
「!?」
「どうかしましたか?」
 笑んで閉じられている口許から、妙に尖っているように見える八重歯を覗かせた。背後から尻尾? そんなの出ていない。先が三角の何かでシーナの頬をチクチクなどしていないのだ。
 言葉で追及されていないのだから、口を閉ざしておけばいいものを……。
「琴音さん確かに今年もチョコ作って差し上げましたけれど、深い意味はなくて、普段からお世話になっているのであげただけですっ!?」
 シロが首を伸ばして、心配そうにシーナの頬をぺろぺろする。余程のことが無ければ、滅多に舐めたりしないのだが。
「あ、えへへ」
 恥ずかしさと嬉しさが同時に押し寄せ、シーナは色々と忙しい表情になっていた。そして喜んだのも束の間、崩れることのない笑顔が目に入る。
「本当なんですってばーーーーーー!!?」
 勝手に自爆し、シロを抱えたまま悶えるのだった。
 意地悪なお礼参りを思案させる要因が無ければ、琴音も控え目に尋ねたはずだが。ここまで来ると、ツノを宿した本人すら同情を禁じえないだろうか。
 ついさっきの事のように昨日の事を思い出して、シーナが顔全体を紅潮させる。
「うぐぐ……大切な人だから贈っただけですもん、大切な……。あ、あわわ」
 耐え切れなくなり、顔を両手で隠してもだもだと。
 もはや小悪魔無用であり、琴音はいつも通りの様子になって、紅茶で一服した。
 動揺全開のシーナが平静になれるのは、もう少し後のことである。
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